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文化財~木造菩薩坐像(伝如意輪観音像)~

ページID:0002739 更新日:2022年7月8日更新 印刷ページ表示

木造菩薩坐像(伝如意輪観音像)

 奈良山等妙寺の旧本尊と伝わる像です。「等妙寺縁起」には七堂伽藍(山王社、12坊外)を建立した折、80ばかりの老翁が背負って来て、「本尊にせよ」と言い捨て行方不知となったと記されています。
 本像は、巌(磐座)上に左ひざを立てて坐する遊戯坐(ゆげざ)と呼ばれるスタイルが特徴的です。中国宋代の影響下にあり、鎌倉時代の仏師肥後別当定慶に連なる慶派仏師の作で、造像年代は13世紀の第2四半期とみられています。如意輪観音と伝えられていますが、2本腕であることに特徴があり、密教尊像として当初から如意輪観音として造像されたものかどうかには諸説あります。しかし、県下最古の平安仏画で、同じく2本腕の如意輪観音とされる四天王寺式如意輪観音の図像が等妙寺に伝わっており、本像も如意輪観音として造像された可能性が高いとみられます。


 旧境内の発掘調査では近年、観音堂跡とされる平坦部A-2の造成が、等妙寺開山期をさかのぼる鎌倉期を中心とする時期であることが確認されました。等妙寺開山以前から観音霊場として開かれ、その本尊とされた可能性が高まっています。「奈良山」山岳霊場の形成を雄弁に物語るものであり、当地域における信仰の一端を解明する貴重な作品といえます。

 

 「福と智の二徳をもって救済される」と諸民の信仰厚く、60年に1回ご開帳の秘仏とされ、現在の等妙寺観音堂(如意輪堂・江戸中期・町指定)の厨子(江戸前期)内に安置されています。普段は尊顔を拝むことは叶いませんが、2020年(令和2)に等妙寺開基700年を記念して、愛媛県歴史文化博物館との共催テーマ展「奈良山等妙寺の至宝と国史跡等妙寺旧境内展」が開催され、等妙寺の全面的な協力のもと、史上初となる一般公開がなされました (県指定有形文化財)。
 

 2022年(令和4)には天台宗祖最澄没後1200年を記念し、国立博物館3会場を巡回した特別展『最澄と天台宗のすべて』に出陳され、「60年に1度だけ公開される愛媛の秘仏」として大々的に取り上げられました(九州・京都会場)。特別展に際し、会場の一つである九州国立博物館にて実施されたX線CTスキャン調査の結果、像内の頸部(首の部分)に高さ5.2cmの木製八角五輪塔が納められていることが判明しました。さらに五輪塔の内部には、仏舎利(ぶっしゃり・釈迦の遺骨とされる)を見立てた金属を含む1~3mmの粒状物質が納められていることもわかりました。舎利を中に納めた八角形の五輪塔は珍しく、像の造立や伝来の背景を知る手がかりとなる貴重な発見であり、今後のさらなる研究が期待されます。

菩薩像  X線透過  

等妙寺木造菩薩遊戯坐像(伝如意輪観音)    菩薩遊戯坐像X線透過撮影画像(右側面)

〔九州国立博物館提供〕                〔九州国立博物館提供〕

X線CT  3次元モデル

 菩薩遊戯坐像X線透過撮影画像(右側面)    菩薩遊戯坐像内部の木製八角五輪塔3次元データ

〔九州国立博物館提供〕                〔九州国立博物館提供〕

 

 所在地:芝 等妙寺
指定日:平成19年2月20日